
東京藝術大学と言えば、数々の日本を代表するアーティストを輩出してきた
日本最高峰の芸術大学であることは皆さまご存知のことだと思います。
さて、この東京藝大を卒業した方々は、どのような会社に就職されているのでしょうか。
今回は、東京藝大の中でも美術学部の生徒に関して
東京藝術大学サイトHPより「最近五年の進路状況」を基に紹介していきます。
1. 就職を希望する学生ってどのくらいいるの?

芸術系の大学の特徴として、就職する人の少なさが挙げられます。
その理由としては、アーティスト(自営業)としての活動や
学部の場合であれば大学院への進学を選択する人が多いからです。
1-1. 東京藝大の大学院進学率
まずは、東京藝大の美術学部における国内外の大学院への進学率についてご紹介します。
下記の表は、2015~2019年の美術学部生の進学率(同大学院、他国内外の大学院)
についてまとめたものです。
卒業生(人) | 進学 | 比率 | |
2019年 | 236 | 135 | 57.20% |
2018年 | 254 | 105 | 41.34% |
2017年 | 229 | 102 | 44.54% |
2016年 | 246 | 96 | 39.02% |
2015年 | 243 | 97 | 39.92% |
この表から、おおよそ4割~6割の人が進学していることが分かります。
日本全体の院進学率が約11.0%(2016年)であるので、かなりの高水準です。
1-2. 東京藝大の就職する人の割合
次に、東京藝大生の就職した人の比率についてご紹介します。
前者が学部卒、後者が院卒のデータです。
【学部卒】
卒業生(人) | 就職 | 比率 | |
2019年 | 236 | 49 | 20.76% |
2018年 | 254 | 42 | 16.54% |
2017年 | 229 | 35 | 15.28% |
2016年 | 246 | 32 | 13.01% |
2015年 | 243 | 23 | 9.47% |
【院卒】
卒業生(人) | 就職 | 比率 | |
2019年 | 286 | 113 | 39.51% |
2018年 | 267 | 62 | 23.22% |
2017年 | 262 | 47 | 17.94% |
2016年 | 246 | 57 | 23.17% |
2015年 | 252 | 42 | 16.67% |
これらの表より、年々数値は上がっているものの
学部卒では1割~2割、院卒では2割弱~4割と全体的に低い傾向です。
以上より、東京藝大においても就職する人はかなり少ないことが分かります。
また、このデータから、東京藝大の学生さんは
アーティストとして個人で活動されている方が多いことが予測されます。
2. どんな会社に就職するの?

さて、ここからは少数派の就職を選択された学生さんたちが
どのような会社で働かれるのか、主な就職先についてご紹介します。
ゲーム会社
東京藝大では、ゲーム会社に就職する人が比較的多く見られます。
具体的には、任天堂やカプコン、スクウェア・エニックス、コロプラ、SEGAなど
有名なゲーム会社に入る方も多いです。
また、2019年4月から、
大学院映像研究科にゲームを中心とした制作・研究などを行う2年間のゲームコースが開設されました。
ゲームを芸術の一分野として捉え、ゲームに関する様々な講義や演習が行われます。
(参考:東京芸術大学公式サイトHP 東京芸術大学ゲームコースの開設について)
このように、東京藝大とゲームとの繋がりは以外にも強く、
また、ゲームコースの開設によりさらに盛り上がりを見せることかと思われます。
もし、ゲーム制作関連のクリエイターになりたいという方がいらっしゃれば、
東京藝大の研究科で学ぶことにも挑戦してみてはいかがでしょうか?
広告代理店
東京藝大から広告代理店に行く人も毎年見られます。
過去5年間の進路状況のデータを見ると、電通や博報堂などの超有名企業にも
毎年採用されているのが分かります。
東京藝大卒で電通や博報堂で働かれている方のインタビュー記事は
ネットに多く掲載されているので、気になる方は検索してみてください!
デザイン系の会社
乃村工藝社や丹青社(ディスプレイデザイン会社)、
大日本印刷(総合印刷会社)、オカムラ(インテリアメーカー)など、
やはりデザインに関連する会社への就職者も毎年多いです。
全体的にデザイン科の学生が多く採用されています。
大学で培った芸術性やクリエイティブなセンスをビジネスに応用して社会に還元していくことは
彼らにしかできない、とても素晴らしい仕事ですね。
3. 最後に

さて、東京藝大生の主な就職先についてご紹介してきましたが、いかがでしょうか。
当記事を簡単にまとめると、以下のようになります。
・学部生は4割~6割程度の人が大学院に進学する
・就職は学部卒で1割~2割、院卒では2割弱~4割の人しかしない
・東京藝大では就職することが当たり前ではない。むしろ少数派
・だが、就職者が少ない中でも大手企業からの採用は多く、就職実績は良い
他の大学では類を見ない、東京藝大ならではの就職事情があることがわかりました。
他の多くの大学では「就職しか道がない」という価値観だと思いますが、
彼らは「就職という道もある」という考え方の中で生きているのですね。
私たちも、自身の生き方についてもっと多様な選択肢を持ってもいいのではないかと
ふと考えさせられました。