≪美しい日々≫バルテュス(1945年)

こんにちは!当記事では、「20世紀最後の巨匠」と呼ばれるバルテュスについてご紹介します。

彼は、20世紀美術におけるどの流派にも属さず、古典美術を受け継ぎながら

独自の世界観を築き上げた画家です。

日本では彼の名をあまり耳にすることはありませんが、

ピカソに「20世紀最後の巨匠」と言わしめた、才能溢れる彼のことをぜひ覚えてくださいね。


1. バルテュスの略歴について

若き日のバルテュス/IMDbより出典

バルテュスは、1908年にフランスの貴族の裕福な家系に生まれました。

父親、母親ともに画家でしたが、彼らはバルテュスが画家になることに反対していたため、

バルテュスはほぼ独学で絵について学びました。

パリのルーブル美術館で巨匠たちの作品を模写することで技術を磨き、

特にピエロ・デラ・フランチェスカというイタリア初期ルネサンスを代表する画家に影響を受けました。

≪キリストの洗礼≫ピエロ・デラ・フランチェスカ(1450年頃)

 

その後、バルテュスはしばらく売れない時代を過ごし、

話題作りのためにわざとセンセーショナルな作品を描くなどして、苦労を重ねました。

1937年には、当時婚約者のいたアントワネット・ド・ワットヴィルと「略奪婚」をするも、

しばらくして別れてれてしまいます。

ちなみに、バルテュスの有名な絵『キャシーの化粧』は彼女をモデルとしたものでした。

≪キャシーの化粧≫バルテュス(1933年)


この最初の結婚辺りから、彼は国際的にも名が知られるようになりました。

その後、義理の姪(兄の結婚相手の連れ子)であった

当時15歳のフレデリックとスイスの古城で暮らし始めます。そのとき、バルテュスは46歳でした。

8年間にも及んだ姪との同居生活は、日本で出会った大学生、

当時20歳であった出田節子との出会いで終了します。

彼女に心を奪われたバルテュスは、節子と二度目の結婚。亡くなるまでの生涯を共にしました。


2. バルテュスと少女たち

バルテュスは、思春期の少女をテーマにした絵を生涯で多く残しています。

性的ともとれる姿で表現された少女たちの絵に対しては、

彼が作日を発表してから今日に至るまで賛否両論を巻き起こし続けています。

『夢見るテレーズ』騒動

そんな彼の代表作であり、ニューヨークのメトロポリタン美術館に飾られている

『夢見るテレーズ』に対して、撤去を求める運動が2017年頃に巻き起こりました。


≪夢見るテレーズ≫バルテュス(1938年)

少女の下着が露わになっているこの作品に対して、ニューヨーク在住の起業家であるミア・メリルが

「美術館が誇らしげにこのような(性的な)絵を展示するのは不快」として署名運動を始めました。

1万人以上の署名が集まったものの、「独創的な表現に対する敬意を払うことで、文化の発展を促す」

として美術館側はこの作品を撤去することはありませんでした。

このように、彼の作品で観られる「少女たちの美しさに対する繊細な表現」は非常に優れているものの、

同時に社会的、倫理的な危うさも存在しています。


≪マリア・ヴォルコンスキー王女≫バルテュス(1945年)

彼は、少女について「絵の創作にインスピレーションを与えてくれる神聖な存在」と語っています。

また、彼女の妻であった節子は、彼の少女に対する興味について以下のように語っていました。

 バルテュスが少女に興味があったというのは、まだ女になっていない、女としての意識がないそんなある束の間の、無垢で純粋な人間像に一番惹かれていたのだと思います。大人の女性になると自然に女性としての認識が備わってくる。でも少女というのは、自然に自由にいろんな恰好をするんですよ。...(中略)...バルテュスは性のない(少女というものの)天使的な美しさに惹かれていた。でも彼は男性ですから、男性が見た少女の像に、しかもどんなポーズでもできるという自由さにも惹かれていたと思います。

バルテュスの妻節子さん「生々しいエロチシズムから神聖な表現へ」/SWI swissinfo.chより引用


3.ピカソによる「20世紀最後の巨匠」の評価

誰もが知るあの有名画家、ピカソは、37歳年下であるバルテュスのことを高く評価していました。

1941年には、彼の『ブランシャール家の子どもたち』という作品を購入し、

1944年にはバルテュスのアトリエを訪問しています。

≪ブランシャール家の子どもたち≫バルテュス(1937年)

「自分とバルテュスは同じメダルの表と裏だ」という賞賛の言葉も送るほど

バルテュスを高く評価していたピカソは、

自らの死の少し前に『ブランシャール家の子どもたち』をルーブル美術館に寄贈したため

バルテュスは、生前にルーブル美術館に作品が飾られた数少ない画家となりました。

その後、この作品はピカソ美術館に預託されました。


4. 最後に

King Barney's amusing life / キングバーニーの楽しい生活 ...
≪地中海の猫≫バルテュス(1949年)

さて、少女に魅了された画家、バルテュスについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

最後に一つ付け加えると、彼は、少女の他に極度の猫好きで知られ

自らを猫に置き換えて作品の多くに忍ばせていました。

彼の作品を鑑賞する際には、少女たちに寄り添う猫にもぜひ着目してみましょう。

今は亡きバルテュスが少女を愛した姿が、そこには残っていますよ。

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